光害によるショットノイズへの影響①
天体写真の評価項目はいくつもありますが、その中に「ノイズの少なさ」は含まれると思います。ノイズが発生する要因は主に
- 天体からの光子数(露光時間)(ショットノイズ)
- 背景光からの光子数(スカイノイズ)
- 撮影装置の読み出しノイズ(リードノイズ)
のようです。本やサイトによって若干式が異なるのでシリーズ現代の天文学 宇宙の観測Ⅰから引用しました。背景光は目標の天体の信号に重なる(それ以外の)信号のことです。
ここでS/N比の式を見てみると
obj=天体、bg=背景、rd=読み出し
ぱっと見リードノイズの影響が大きそうですが、最近のCMOSセンサーのリードノイズは小さいのであまり重要ではありません。重ねる枚数にも依りそうですが。となると①②が重要で、特に天体からの光子数を稼がないといくら低ISOでもノイズが出るので①は最優先=露光時間をしっかり取ります。疑問があるのはこの先で、
1.東京や大阪など光害が非常に強い場所ではスカイノイズがどのくらいになるのか
2.高ISOで撮影する場合背景光と天体の光度の>、<の関係によってスタック枚数を増やしたときS/N比はどのように変化するのか。
3.「低ISOかつ長時間の方が良いらしい」の検証。
光害まみれの中から天体の光を出すには、ISO上げて全体を増幅し天体のコントラスを上げた方がいいのでは?(F値で光量は調節) 夜間でも飛行機が飛ぶ都会では長時間露光は厳しいのでは? という疑問からです。σクリッピング?私のPCが持ちません。
2.の補足
高ISO、光害強、十分な露光
予想 |
スタック枚数増の影響 |
|
天体>背景 |
〇 |
◎ |
天体<背景 |
× 悪化 |
〇 |
スカイ雑音もスタック枚数を増やすことで平均化されるはず.
方法
- スカイノイズを調べる
光害の方向にカメラを向けて、低高度(30°)、高高度(80°)で撮り分ける。
撮影時間とISOによる影響も見たいので、短時間と長時間、低ISOと高ISOでそれぞれ撮影。
2.1.で撮影した高ISOの画像をスタック枚数ごとに分け、弱い天体の光を比べる。
3.2.の結果を踏まえながら低ISO長時間の画像を見て総合的に判断。
- 撮影について具体的に。
カメラはAPS-CのD7100、レンズは35mmF2。フルサイズ換算52.5mm
水平画角36.98°、垂直画角26.83°なので低高度は30~56°、高高度は60~86°で撮影。
低ISOは200ぐらい、高ISOは1600、余力があれば中間として800も撮ります。
露光時間は短時間を10秒、長時間を60秒にする予定ですが、テスト撮影でF値を大きくしても露出オーバーが避けられない様子ならもっと短くします。