都会で天の川をリアルタイムで見る
以前、都会で天の川を撮るにはどうしたらいいのか調べていて、その時に出た結論がナローバンドと光害カットフィルターを組み合わせて天の川の幅の広い波長をカバーするというものでした。それに加えて近頃は近赤外域を使った撮影法が話題になっています。そこでこれらをうまく使って天の川の電視観望に挑戦します。
まずは撮影システムの紹介を。波長750~1000nmをメインとし、そこに光害のレベルに応じて光害カットフィルター(長波長寄り)を付けて光害の影響を抑えた波長を加えます。カメラで撮影した画像はSharpCapに送り、ライブスタックで総露光時間を稼ぎながら強調処理で天の川をPC画面で見ます。赤道儀で追尾しながらの撮影です。
カメラは赤外感度の高い天文用CMOSカメラを使います。赤外改造済みの一眼でも出来ると思います。ただ現時点でSharpCapが一眼に対応していないので[i]コストの面でもあまり良いとは言えないかなと。ASI Air proがあれば一眼でも電視観望が出来ます。
私はセール時に買ったSV305-sjという赤外感度がそこそこあるカメラを使うつもりです。
ちなみに感度はこんな感じです。
800nmを超えた辺りからRGB感度が一致して赤外モノクロカメラになります。
もっと近赤外感度があるカメラ(ASI1600mm,6200mmなど)もあります。
カメラの設定は
高ISO、短時間露光、多数枚ライブスタック。
理由は光害がひどい場所では低ISO長時間より高ISOで枚数を稼いだ方がよく写るから、撮り始めてから結果が現れるまでが早いからの二つです。
レンズは35mm版換算で35~50mmがいいのかなと思います。というのもこの撮影は赤道儀の使用を前提としていて、SharpCapのライブスタックを使うので、地上部分が入ってしまうとそこが流れてあまり見栄えが良くないからです。それに光害のレベルが最悪の場所での撮影です。広角だと光害のグラデーションがはっきり見えてしまい、天の川が見えづらくなるのではと予想しています。これは近赤外域の波長だけ通すようにすれば解消しそうですが、それでも多少写ってしまうと思います。
SV305-sjなどの小センサーで35mm版換算35-50mmの画角を得ようとすると、物凄く焦点距離が短いレンズが必要になります。 そんなレンズなんて...ありました。
6mmF1.2。このレンズを1/2.8インチセンサーに付けると、換算約40mmの画角が得られます。ちょうどですね。おまけにF1.2と超明るいのでもってこいです。
赤道儀は、ポタ赤で十分です。自動導入機があればレンズを付け換えて春の銀河祭りにも使えるかもしれません。
フィルターは
- IR720 光害強
- IR640 光害弱
今のところはこれくらいしか思いつきません。
課題点
1 露光時間
通常の撮影に比べ大幅に波長を削ってしまうので、写るまでにかなり時間がかかると思われます。
2 色が出ない。
3 フィルター代がかさむ。
4 光害カットフィルターとIRカットフィルターを併用できない。
カメラを二台体制にすれば出来ます。ただ二台のカメラからの出力をどうやってライブスタックして一つの画面に写すのかが課題です。それ以外にはIRカットフィルターを使わずに、近赤外も通す光害カットフィルターを使うという選択肢もあります。そんなフィルターはbaader社のセミアポフィルターしか知りませんが.. しかも700-1000nmを通さないという曲者です。
お約束
・文脈からお察しの通り検証前の撮影法です。
・私は天文歴がまだ短いので、どこかで間違えているかもしれません。
・空が暗いところまで電車で二時間ぐらい移動して天の川撮った方が建設的です。
・SharpCapはASCOM Platformを使って一眼カメラを対応させることができますが、対応しているカメラが少なく、少し不安定なところがあります。